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■漫画などでの中国人の口癖「アル」について

nannkore_15.jpg

「私、中国人アルヨ。」
などと漫画やアニメに登場する中国人は語尾に「アル」が付くことが多いですよね。
キャラクターに強烈な印象付けをし、一発で中国人だとわかるこの口癖。
でも、なんでこのような口癖でキャラ付けされるようになったのでしょうか。
今回は漫画などでの中国人の口癖「アル」について調べてみます。




と勢い余って調べてはみたものの、
かなり諸説はびこっているようです。

まあ、どこからともなく言われだしたものなら、
その元ネタも曖昧になるのもやむなしといったところでしょう。

そのため、ここではいくつか説をあげて説明をしていきます。
説は大きく分けて4つあります。

 1)所有と存在を表す中国語「有」を日本語読みしちゃった説
 2)中国語の発音の変化である「児化(アールか)」[r]を日本語読みしちゃった説
 3)満州国で使われていた簡易な日本語である「協和語」だった説
 4)横浜開港時代に使われていた「ピジン言語」だった説


とこんな感じです。
うーむ、意味が分からぬ。
最初に言っておくと、おそらく最後の説が一番有力だと思います。

では、例の如く順々に説明していきます。

1)所有と存在を表す中国語「有」を日本語読みしちゃった説

これは中国語のお勉強をしたことがある方なら必須の文法ではないでしょうか。
ちなみに僕はまったくわかりません(真顔)
なので、ちょっと間違ってるかもです。

「有」というのは中国語で所有や存在を表す動詞です。
英語でいうbe動詞みたいなもんでしょうか。

使い方としては、所有と存在で構造が違います。

所有は、SVO(主語+動詞+目的語)の語順で、
「人(所有者)+“有”+物・人(被所有物)」の形となります。

<例>「我 有 照相机」(私はカメラを持っている。)

存在も構文は一緒ですが、
「場所+“有”+存在する人・物」の形となります。

<例>「桌子上    有 照相机」(机の上にカメラがある。)

要するに、人が主語だと所有を、場所が主語だと存在を表すわけですね。
ちなみに否定の形にすると、「没」を付けて「没有」にするだけです。
まあ、文法について長々とやってもアレなので、この辺で。

で、この「」と「没有」ですが、それぞれ「ヨウ」と「メイヨ」と読みます。
結構これ便利に使われているようで、中国で「○○ありますか?」と聞くと、
「ヨウ」(=あります)か「メイヨウ」(=ありません)という返事がきます。
また、be動詞的立ち位置なら当然文章にもいっぱいでてきますよね。

あえて「有」「没有」を日本語で読んでみると…
ほら、「アル」「ナイアル」になるじゃないですか!!


…うん、無理があるね。
そもそも読み方が「ヨウ」だからね。

まあ、中国語で「有」が多く使われていたので、
中国人の特徴を「アル」としたのがこの説ということです。

さらに飛躍して、日本に来た中国人が日本語を覚えやすいように、
使い方が同じ「アル」「ナイ」で所有や存在を表現したという説もあります。
「私、中国人アル」「私、中国人ナイ」みたいにね。

2)中国語の発音の変化である「児化(アールか)」[r]を日本語読みしちゃった説

「児化」は、「アールか」と呼ばれる発音の変化で、
「儿化」「兒化」とも書きます。

何なのかっていうと、要するに発声の変化で単語の意味を変えるわけです。
意味としては、その字の如く単語に親しみを込めます。
日本語的に言えば、「ワンコ」「ニャンコ」みたいなもんです。

中国語にはピンインと呼ばれる発音記号があります。
例えば、「児」のピンインは「er」なんだそうです。
ちなみに、発音記号といってもそのまま発音するわけではないようです。
チュゴクゴムズカシイ

で、アール化するためには、単語のピンインに「r」を付ければオッケーなようです。
ピンインに「r」アールを加えるから「アール化」というわけですね。
まあ、色々ルールがあるようですが、複雑怪奇なので詳しく説明しません。

一見すると、「アール」=「アル」で、
これっぽいと思ってしまいますが、問題点が2つあります。

まず、「アール化」は中国語の中でも北京語の一方言でしかなく、
中国人全体を指す表現とは考えにくいことです。
上海などでは使わないようで、田舎者の言葉とするところもあるとか。
まあ、標準語にも一部取り入れられているようですが。

もう1つは、そもそも「r」を「アール」とは発音しないこと。
先ほどもちらっと書きましたが、あくまでも「r」はピンインでの発音記号であって、
ローマ字で「アール」と読むわけではありません。
巻き舌っぽく発音するだけです。

だから、耳で聞いても即ち「アル」とは思いにくいと思われます。
また、「アール」も明らかに英語の「R」からきているものですし。
ちょっと微妙な説でしょうか。

3)満州国で使われていた簡易な日本語である「協和語」だった説

この説が正しいものとして、挙げられている人も多いです。

そもそも満州国とはなにかというと、
1932年から1945年の間、満州(現在の中国東北部)に存在した国家で、
当時の複雑な情勢下の中で、日本の影響がものすごく強かった国とされています。

その満州国では、「五族協和」をスローガンに掲げていたそうな。
五族というのは、日本人・漢人・朝鮮人・満洲人・蒙古人だそうです。
多民族国家なら当然言語もバラバラ。
統一された共通語のようなものが必要だったわけですね。

そこで考案されたのが、日本語をベースにした「協和語」です。

この「協和語」が何かっていう定義は、
文献が消失し、今となってはよくはわからないそうです。
まあ、要するに日本語を簡単にしたものだと思ってください。

じゃあ、日本語なのかというと、それは違って、
中国語も混ざった混成言語というのが正しいです。

(例)理髪店
日本兵:おい、好看(ハオカン)にやってくれよ。⇒「きれいにやってくれよ。」
現地人理髪師:明白(ミンバイ)⇒「わかりました。」


といった具合。
ルー大柴みたいな口調だと思うと理解が早い。

主な特徴としては、2つでしょうか。

まず、助詞「て・に・を・は」が省略されることが多いです。
わかりやすく言えば、「インディアン嘘つかない」のように、
単語の羅列で言いたいことを伝えるものだと思ってください。

(例)理髪店
現地人理髪師:ワタシ バリカン ヨク 切レマシエン。


そして、こちらが核心で、「ある」という助動詞を大変便利に使っています。
「ある」は日本語だと「有る、在る」で存在を表します。
しかし、協和語だと「である」「です」「だ」の3つの助動詞を「ある」で表します。

(例)理髪店
現地人:日本兵隊サン、ガマン強イコトアル。
理髪師:旦那終わったあるよ。眼醒ますよろしい。


といった具合です。

今風に言えば、
「私中国人ある」「私中国人ないある」という感じでしょうか。

なるほど、確かにこの説が根強い人気も頷けますね。
カタコトっぽさと「アル」の使用で文句なしといえます。

実際に、これが現代の「アル」口調に大きく影響を与えてそうです。
しかし、元ネタに関しては次にあげる「ピジン言語」だと思っています。
協和語も「ピジン中国語」「ピジン日本語」が含まれていますからね。

4)横浜開港時代に使われていた「ピジン言語」だった説

さて、最後にこれです。

横浜開港時代といっても、今も横浜は開港しているわけですが、
主に開港(1859年)から明治時代までではなかろうかと思います。

「ピジン言語」というのは、
現地人と貿易商人などの外国語を話す人々との間で
異言語間の意思疎通のために自然に作られた混成語だそうです。
要するに、共通語みたいなもんです。

で、この横浜で使われた「ピジン言語」は、
横浜ダイアレクト(横浜方言)」と呼ばれていました。

この横浜ダイアレクトは、
明治12年(1879年)に発行された
「Exercises in the Yokohama Dialect(横浜方言の練習)」
という外国人向けの本の中で紹介されています。

ちなみにこの本は、ガチガチの語学書ではなく、
「やべぇwww横浜の奴ら意味不明すぎワロタwww」
といった感じのジョーク本です。

それが後世まで残る貴重な資料になるのだから、
世の中わからないもんですね。

そうそう、本の内容は下のサイトで閲覧可能です。
見てみると面白いですよ。
https://archive.org/details/revisedenlargede00atki

横浜方言の例をいくつかあげてみます。

日本語 お茶        英語 Tea           横浜方言 Oh char =お茶
日本語 いい        英語 Good           横浜方言 Your a Shee =よろしい
日本語 病気        英語 Illness          横浜方言 Am buy wurry =塩梅悪い
日本語 お茶あります? 英語 Have you any tea?  横浜方言 Oh Char arimas?


という感じです。
日本語を英語っぽく表記しているわけですね。

で、この横浜方言の特徴としては、
所有や存在を表すのに「あります」を使う点です。

nannkore_16.png

こんな感じです。
例えば、「私、外国人、あります。」といった具合です。
横浜方言だと、「Watarkshee Eejin san arimas」(わたくし がいじんさん あります)でしょうか。

あれ?「アル」関係ないじゃんって思ったあなた、ここからですよ。

この「Exercises in the Yokohama Dialect」の最後の方に、
Nankinized-Nippon」という章が出てきます。

nannkore_17.jpg

これはその字のごとく、「南京ナイズドされた日本語」という意味でしょう。
要するに、横浜方言の中国人バージョンというわけです。

先ほど横浜方言の特徴として、
所有や存在を表すのに「あります」を使うと言いましたが、
この中国人バージョンでは、なんと「ある」を使います
上の画像でも「Alloo」が紹介されています。

例えば、「私は具合(=塩梅)が悪いです。」を訳してみると、

横浜方言「Watarkshee am buy wurry arimas」
南京ナイズド「Watak-koo-lack’shee am buy wolly alloo」


となって、かなり発音が違うことがうかがえます。

横浜方言は、主に西洋人、華僑が使用し、
南京ナイズドは、主に中国人が使用していたようです。

その特徴的な語尾から前者は「アリマス型」、後者は「アル型」と呼ばれるそうです。

中国人は「アル」
を語尾につけた口癖で表現される一方、
西洋人は「デース」などの丁寧口調で表現されることも多いですよね。
それはおそらくこの2つの方言からきているのではないかと思われます。

このように中国人だけではなく外国人の口癖も含めて
人々が認識するようになったきっかけは協和語ではなく、
この「横浜ダイアレクト」ではないかと思うので、これがイチオシなわけです。
少なくとも起源であることは間違いないでしょう。

まあ、実際はどうなのかわかりませんね。
そうそう、「アイヤー」は本当に中国語であるそうですね。
さて、長くなったのでこの辺でお開きにしときましょう。

参考:
 【中国語】
  中国語達人への道さん
 【アール化】
  Weblioさん
  楽しい中国語入門さん
 【協和語】
  wikipediaさん
  「満洲国」における言語接触(pdf)
  満州ピジン中国語と協和語(pdf)
 【横浜ダイアレクト】
  p_prince ブログさん
  SKの役割語研究所さん


非常に奥が深い話題は調べるのに一苦労。
でも、こういう役割語っていいですよね。
「アルアル」言う漫画のキャラ大好きです。
シャンプーしかり神楽しかり。
現実でもいないものでしょうかねー。

ヾ(。・Д・。) それではみなさん、また会う日まで~


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